日本財団 図書館


 

(2)準拠法選択における当事者自治の原則
このようにEDI協定の拠りどころとなる準拠法は、協定の当事者が自由に選択できるのが原則とされている。
準拠法選択における当事者自治の原則は、広く世界的に承認されているところであり、これをわが国の法制についてみると、渉外的な法律関係から発生する各種の法律問題の抵触を解決するわが国の国際私法としては、「法例」があり、その第7条第1項(法律行為の成立及び効力に関する準拠法)では、『法律行為の成立及び効力については、当事者の意思に従い、そのいずれの国の法律に依るべきかを定む。』と規定し、「準拠法選択における当事者自治の原則」が明示されている。
しかし、このような準拠法選択における当事者の意思が、世界のどこでも尊重されるとは限らないとの指摘もあるので、留意する必要がある。

 

3.準拠法の選択等に関する留意事項
EDI協定書に準拠法条項を設けることなどに関しては、次の諸点に留意する必要がある。

 

(1)複数の準拠法の選択(指定)
EDI協定書に準拠法条項を設ける場合、本条のように、『本協定は、(    )の国内法が適用されるものとする…』と規定することになるが、準拠法の選択に際して、「A国法またはB国法」とか「A国法およびB国法」などというように複数の国の法律を選択することがあるとすれば、準拠法の根本的な概念に抵触することとなるので留意する必要がある。
準拠法は、本来、協定の選択の基準となるべき法律をいずれか一つの国の法律に準拠すべきことを選択するものであるのに、法体系の違う二つの国の法律を選択することは、準拠法お根本的な概念に抵触することとなる。

 

(2)準拠法でカバーできない事項
EDI協定書に準拠法条項を設ける場合、当該協定のかなりの部分は、準拠法でカバーされることになるが、裁判管轄や証拠などの問題については、当事者が合意し、選択した準拠法では解決ができないものもあるので留意する必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION